2.外壁塗装の塗料の基礎知識(塗料のグレードについて)
前回のコラムでは、塗料の成分と働きについてお伝えしましたが、今回は、外壁塗装の塗料のグレードについてお伝えしていきます。
塗料の成分と働きをお伝えした際、主な成分のひとつに「合成樹脂」があるとお伝えしました。
この合成樹脂の成分において、「アクリル樹脂塗料」・「ウレタン樹脂塗料」・「シリコン樹脂塗料」・「ラジカル制御型塗料」・「フッ素樹脂塗料」が代表的な外壁塗装の塗料(合成樹脂)の種類(グレード)となります。
※ただしラジカル制御型塗料は、樹脂の成分の名前ではなく、機能性を高めた塗料として販売されており厳密に言えばこちらのラインナップには当てはまらないと言えます。
大きな違いとしては、「耐用年数」であり、耐用年数が長いものが良いグレードとして扱われています。
□アクリル樹脂塗料…最近では殆ど使用されるケースは無いと言える塗料ですが、20年以上前では、塗装費用を安くするために使用されていましたが、3~5年程度と耐用年数が短い事、ウレタン樹脂塗料やシリコン樹脂塗料の値段が下がってきたことから現在では外壁塗装の塗料としては殆ど使われていません。ちなみに大手塗料メーカーからはアクリル樹脂の屋根用塗料は販売されていません。
※余談ですが、シリコン樹脂より高耐久性があると言われている、「ラジカル制御型塗料」ですが、現在実績が豊富な日本ペイントの「パーフェクトトップ」がありますが、実はこの塗料のベース樹脂は、アクリル樹脂です。しかしながら耐用年数は、シリコン樹脂塗料を上回っています。
□ウレタン樹脂塗料…こちらも最近ではシリコン樹脂塗料の価格が下がってきている事から減少傾向にありますが、以前では主流の塗料で現在でも利用されています。耐用年数は7~10年程度であり、普及品として利用されてきました。ウレタン樹脂塗料の利点として、柔らかい弾性のある塗膜を形成する事が挙げられます。また密着性が高いという利点もある塗料です。
□シリコン樹脂塗料…現在主に主流となっている塗料が、シリコン樹脂塗料です。
現在では、コストパフォーマンスが高く総合的に優れている塗料であると言えます。
耐用年数は10~15年程度と耐久性の高い塗料です。また各メーカーにおいてもシリコン樹脂塗料については高機能な塗料を開発しておりますので、これから外壁塗装を行おうとお考えの方は選択肢に入れた方が良いでしょう。
□ラジカル制御型塗料…ラジカル制御型塗料は最近注目を集めていますが、まだ実績が短く2012年に発売開始されている為、現在の2019年ではまだ7年しか経過していない事があり、耐用年数がどの程度あるのかまだはっきりと実績としては分かっていません。しかしながらメーカーでは、耐用年数をシリコン塗料より少し長い12~16年程度としています。
費用面でもシリコン樹脂塗料と同等であり、選択肢としては良いと考えます。ラジカル制御型塗料では、日本ペイントのパーフェクトトップが先行していますが、他のメーカーは、ベース樹脂にシリコン樹脂を使用したラジカル制御型塗料を発売して追従しています。(現在シリコン樹脂塗料とラジカル制御型塗料において、合成樹脂別シェアは2つ合わせて80%以上と言われています)
□フッ素樹脂塗料…高機能塗料であるフッ素樹脂塗料で、耐用年数は20年程度と言われていますがまだコストが高いという事があり合成樹脂別シェアでは10%程度と言われています。一般住宅よりビルや商業施設など大きな建物でよく使用されています。
一般住宅の場合、屋根の塗膜の劣化は外壁より早くなるケースが多い為、外壁塗装はシリコン樹脂塗料、屋根はフッ素樹脂塗料などの使い分けも増えてきています。
一般的な外壁塗装の広告などを見ると、殆どが、上記の合成樹脂の種類で表記しています。
但し注意が必要な事を述べておきます。
それは、合成樹脂の種類が良し悪しを決める全てでは無いという事です。
例として、合成樹脂が、「シリコン樹脂塗料」でも、「水性塗料」・「油性塗料」そして「1液型塗料」・「2液型塗料」に分かれています。(これらの違いによっても耐用年数など耐久性に違いが出てきます)塗料によってシリコン樹脂の含有率も違いがありますので、気になる場合は確認して下さい。
お客様の住宅の外壁塗装にはどの塗料が向いているのか、調査した上で、きちんと説明をしてくれいる業者の方が安心ですね。
③添加剤は、塗料に様々な機能を追加させるための成分です。
添加剤には沢山の成分があります。
・顔料を固まらせる硬化剤
こちらは、1液型の塗料においての成分となります。2液型塗料の場合は主成分と硬化剤が別に分けられている為、2液型と呼ばれています。(2液型塗料は長期保管にも向いています)
・塗料の粘度を調整する為の「たれ防止剤」や保管中の塗料の沈殿を防止する「界面活性剤」
・塗料を塗った時に空気が含まれ乾燥後に気泡の後が残ると見た目は綺麗ではありません。このような事を防止するために「消泡材」が配合されています。
・元々の塗料のベースが艶あり塗料の場合、艶無し塗料は、「艶消し材」が配合されています。
・他にも「防腐剤」・「防カビ材」などあり添加剤については、他にも種類が沢山あります。
④希釈剤(溶剤)は、水性塗料は「水」・油性塗料は、「シンナー等」の溶剤を使用しています。
環境に優しい「水性塗料」が主流になりつつありますが、それぞれ塗れる下地等メーカーによって様々な為、しっかり塗装業者に確認して頂きたいと思います。耐久性については、まだ油性塗料の方が優れていると言えますが、殆ど差は無くなってきています。
外壁塗装の基礎知識として今回は、外壁塗装の塗料の成分と働きについてをお伝え致しました。
もし、気になる事などありましたらお気軽にお問合せ下さい。
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